☆ストレスからの睡眠不足
最近は、夜勤をやりたがらないナースも多いので困っているのですが、確かに夜勤は神経を使うだけでなく、肉体的にもきついときがあることは認めます。
患者さんは夜になると不安感が増し、そのためか痛みや不快感を訴える人が多くなります。日中、医師が回診したときには「ありがとうございます。ずいぶん良くなりました」と良い患者を演じているようなタイプの人ほど、夜になるとナースに「痛い、苦しい、暑い、寒い」など様々な訴えをして困らせる例が多いのです。
夜勤に不平不満があったり、悩んでいたりする若いナースに対しては、「仕事と割り切って、できることを精一杯していればいいのよ」と看護師長の私はアドバイスするのですが、相手が感情を持った人間なだけに、やはり割り切るのも難しいときがあります。
私自身も現場のナースをしていたときはずっと、2交代での夜勤を続けていましたし、精神的に辛いときは涙を流したことも何度もありました。
また、夜勤が済んで夜勤明けという休みに入っても、なかなかすぐに寝付けるものではなく、だからといって夜きちんと寝ていたときのように元気に動けるわけではないというつらい状態になります。
若いうちは乗り切れても、30代を過ぎるとなかなかこれも、辛くなってくるのです。睡眠のペースが乱れ、日勤の日でも夜寝付けなくなるなど、睡眠障害が起こってきます。
☆睡眠薬の在庫がおかしい
Tくんは、20代後半で看護師に転職した男性です。それまでは、町工場という感じの会社の営業をしていたそうです。成績が上がらず収入は低く、このままでは結婚もままならないということで、看護師の専門学校へ入学したといいます。
その後、准看として働きながら夜間学校へ通い正看護師になり、結婚して一男一女を授かっています。
Tくんは、30代になってからは若い女性看護師さんのシフトを替わってあげるなどして、夜勤をたくさん入れていました。マイホームの頭金を貯めているのだといいます。
Tくんの病棟でチーフをしているY子さんから、Tくんが夜勤の日に妙に睡眠導入剤が減っているという話を聞いたのは最近のことです。
Tくんを呼びだして話を聞くと、やはり、睡眠をうまくとれなくなり、自分が飲むぶんだけだからと、こっそり薬を持ち出していたというのです。
私が以前働いていた総合病院に、睡眠障害に詳しい心療内科の先生がいたことを思いだし、Tくんにはその病院を紹介しました。
薬は、飲み続けると効きにくくなって量が増え、依存症になることもありますし、身体を壊す原因にもなります。Tくんの場合は早めに気付いて良かったですが、ストレスの多いナースの目の前には、いつも薬品があるということはとても不安だと感じています。
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