看護師の二股に注意!

☆看護師Mちゃんの初恋

私が看護師長になって、あっという間に3年が過ぎました。

今年の4月から新人として働き始めたMちゃんは、今どき珍しい真面目な子でした。

専門卒でまだ正看護師ではないものの、やる気も笑顔も他の新人とは全然違う、可愛らしくて小柄な、「女の子」という言葉がピッタリの准看です。

休憩時間に話をしても、にこにこと感じよく、私はMちゃんが立派な看護師になれるよう、自分に教えられることはすべて教えてあげよう、困ったらできるだけサポートしてあげようと思っていました。

Mちゃんは5人兄弟の一番上で、一番下の弟はまだ小学生なのだそうです。

病院の寮に住んでいる彼女は、看護師として働いたお金を、半分は実家に仕送りするということでした。4月はさすがに、自分の生活準備にお金がかかるので送らなかったと言いますが、これからずっと、収入の半分を実家に入れるなんて、本当に感心な子だと思っていました。

他の若い看護師と一緒にお昼ごはんを食べているとき、恋愛の話になりました。Mちゃんは「高校は女子校で、その後看護師の専門学校だったから、女子だらけで出会いがなかった」と笑っていました。

そんな彼女の様子が変わってきたと、同じ病棟で働くY子さんから聞きました。

どうやら、製薬会社のプロパーさん(営業担当者のこと。今はMRということが多いようです)と恋人になったようです。

若いのだから、恋愛も楽しまなくてはね、と、私までウキウキした気持ちになっていました。

☆彼の裏切り

看護師はストレスの多い仕事で、勤務時間も不規則です。彼にはそういった部分を理解してもらわなくてはなりませんから、病院関係者のプロパーさんなら、Mちゃんの恋人にはちょうど良いのではと私は思っていました。

ところが、プロパーさんはと言えば、いくつもの病院を担当し、しょっちゅう出入りしては看護師さんとも知り合っているわけです。

薬に関しては医師と対等に話ができるくらい賢い人達ですし、営業マンとしても優秀な人が多いので、女性にはモテるのです。

20歳のMちゃんがつきあったのは、30代にさしかかった大人の男性。相手にとっては恋人のひとりだったようですが、Mちゃんは夢中になっていたようです。

ある日、Mちゃんが彼と一緒にいるときに、女性が近づいてきて修羅場になったそうです。

Y子さんはベテランですから、落ち込んでいるMちゃんと夜勤を替わってあげるなどMちゃんのフォローをして、励ましているそうです。

あんなに素直ないい子に手を出して傷つけるなんて、許せないという気持ちです。今でも平気でうちの病院に出入りしているそのプロパーがネーム入りの備品を持ってきたとき、「そんなところに置かないで。邪魔だから!」とにらみつけてやりましたよ。

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